初恋の歌
偶然見つけた代物なのだが、基本無料のアプリゲーの割には、コンシューマのギャルゲー1本分のボリュームがあったので、とても良かった。
内容はしつこすぎず長すぎずどの子も変に設定や世界観を飾らない(厨二病気味の子はいる)、世の男性が夢見る青春の恋愛ドラマを地で行っている意味では正統派のギャルゲーだし、主題歌にもなっている一つの楽曲がタイトル通りにシナリオへ強く絡んでいるので、その曲の背景が深まっていく様は読んでいて凄くエモくて沁みた。
エネルギーを使うゲームや現実その他に疲れた場合はお勧め。
シナリオでは恭子>遥香>咲美>>美夢・響
キャラの容姿と性格では咲美・遥香のツートップ、次点で恭子先輩
いつもの自分の感覚では一番好きになりそうな美夢と響がそうでもなかった。
響はTHE小倉唯すぎて返って普通だし、ピンク髪ボブカットアスミスでハピラキハピなるキャッチーなはずの美夢がトータルで見ると地味…
- アーティスト: ゲーム・ミュージック,氷川恭子(堀江由衣),河合美夢(阿澄佳奈),野々村咲美(伊藤かな恵),小椋響(小倉唯),柏木遙香(東山奈央)
- 出版社/メーカー: TWOFIVE RECORDS
- 発売日: 2015/12/16
- メディア: CD
- この商品を含むブログ (2件) を見る
一通り感想を。以下ネタバレ有。
柏木遥香シナリオ
憎まれ口を叩き合う仲で、素直になれない、けど思いは募る一方、素の自分はぬいぐるみを後生大事にするぐらい超乙女、おまけにラッキースケベ率が高い。誰もが思い描くような超王道の幼馴染ルート全開でとっても楽しい。
ぬいぐるみと一人二役で寸劇し出すのは水瀬伊織よりも情緒不安定なのでは
しかし主人公・一樹が彼女の好意を全く汲み取れない朴念仁極まりない状態がかなり長い間続くので、そのうち非常にもどかしくなる。
クラスメイトの健・未夢が大いに理解者なので読み手を代弁してくれるのが救い。
しびれを切らした健と三角関係バトル始まるかと思ったけど、恭子先輩の方がひどかった。
恭子や咲美が変わり種な分、ヒロインの中ではスタンダードな性格だけど、未夢の方が正直地味かな…
氷川恭子シナリオ
あの手この手で誘惑する色香が半端ない。アプリ内で入れるファンクラブ人数がヒロイン中最多。
曲の裏に秘められたヒストリーに踏み込んでいくからこの作品の核心を突くし、人間関係が段々ややこしい事になっていくからディープというか”オトナ”な展開だし、この人が裏ヒロインなんじゃないかってぐらいドラマが濃すぎる異質なルートで惹き込まれる。
ほぼ無条件で主人公に惚れ込んでくる導入はありがちすぎて吹くけど、そうしてくる心境もちゃんと裏付けられていて同情を誘うのが良い。
遥香√ではただ足を引っ張るばかりだった一樹も、彼女のペースに振り回されながらもその芯に振れて受け止めようとする姿勢がちゃんと彼氏になるに相応しい器を証明してくれててスッキリする。
大胆なお姉さんのフリをしながら多くの嘘を抱いていてセンチメンタルが見え隠れするギャップも素敵だけど、ガッツリと依存してきそうなのが仇になって彼氏と長続きしなさそうなタイプに見えてしまう。
cv堀江由衣で姉に対する強いコンプレックスを抱えてるのが十六夜リコと重なって仕方なかった。
魔法を音楽に置き換えたら、魔法の無い世界でみらいと出会わなかったらこうなるのだろうかと思いを手繰らせてしまい、ぶっちゃけそれだけでキュアップラパパと心火を燃やしてフォーリンラブ。
小椋響シナリオ
[
小柄でツインテで素直で謙虚でcv小倉唯で、愛されるために生まれてきたようなキャラだし、やりとりは確かに微笑ましくて好きなんだけど、こいつら付き合うには向いてないだろって感情が上回った。
後半にかけて好意が空回りしてギクシャクしちゃうんだけど、それが気持ちすれ違うっていうよりも、そもそもお互いに相手に勝手なイメージを押し付けて見ているような印象が拭えなくて、やりとりが微妙に噛み合わないのが気持ち悪いのなんの。
響は4/4のチェロを一樹に聴いてもらいたい、遥香もいるから気持ちが焦るというのに、一樹はなかなか妹のような目線が抜けずチェロを弾ける事と留学そのものに向かって頑張ってる彼女が良いという。幼馴染の遥香と響の両方に顔を立てようとして追い込んでるのも不器用だけど、なんでチェロ続けてるのも聞いた上で尚も響の真意を受け止めるよりその目線が抜けきらない辺り、この男鈍感設定で暴れすぎでしょ、やはり口だけなのでは…?
響も響でなんか幼少のころの面影を引っ張り過ぎていて急に拗れるのでヤンデレを疑うし…
ギャルゲーなのに、これは先輩後輩の関係のままが幸せなんじゃね…?ってなる。
まあギャルゲーなので最終的にはくっつくんだけど、その辺の食い違いが解消されないままくっついてしまうし、FirstDreamFirstLoveの最後の歌詞が人によって「夢」に聴こえたり「恋」に聴こえたりするというさりげに凄い設定があるので、それを反映したような話といえば聞こえは良いんだけど、まあどうにも歯に物が挟まったようなスッキリしなさ。
面白かったけど響も一樹も不器用すぎる…と悶々しながら読んでたから、そこまで狙ってたら褒める。
先輩だからと、響相手にはキャラが変わったようにやたらとイニシアチブを取ろうとするのも笑える。
遥香がFirstDreamFirstLove歌ってる間に響の事考え出す一樹も大概だし、
彼女のルートでは勃起障害を疑うレベルで振り向かないのに、恭子や響のルートでは普通に悩殺されるシーンが多いしで、遥香の立つ瀬が無い…。
幼馴染が仇になって自分のルート以外ではだいたい不憫だけど、こんなちぐはぐなカップルの板挟みにされるの輪に懸けて可哀想でならない。
この子だけやたら長くなった。
野々村咲美シナリオ
紫吹蘭etcを彷彿とさせる男口調
+厨二病キャラ
+ヒロイン中1,2を争う巨乳
+金髪ポニテ
+cv伊藤かな恵
…属性詰め過ぎ。ただその優秀すぎるプロピ―ションに本能が従う事に罪悪感を抱かせるような、セクシャルにトラウマを抱く重いエピソードをぶちこんでくるのでバランスが取れていた。双子の姉妹と拗れた恭子先輩よりもキツイかもしれない。
とにかく一樹のイケメンカウンセラーっぷりが半端ない。相手の土俵に立った上で優しく具体的に諭せるコミュ力がいかんなく発揮される。
いくら無駄に優秀なのが普通なギャルゲーの主人公といえど輪に懸けて振り切れていてビビるので、響ルートや遥香ルートであれだけ無神経&鈍感を通した一樹とはあまりに別人すぎる。あと報われない幼馴染の遥香がやっぱり不憫。
これ、彼女の理解者でもある美夢ルートはもっと可哀想なことになるのでは…
曲を音の波動やデータとしてではなく心で受け取れるようになる・冤罪を犯した父親との接触を経て厨二病の殻を破って明日へ踏み出せるようになるまでが主旨なんだけど、トラウマ描写が強かった分父親と話しただけで克服できるものなのか…?という疑問が浮かぶ。
でもそのヤマ超えたら抵抗あった反動で急にアグレッシブに乳押し付けてくるようになった痴女一歩手前な姿にちょっと相当高鳴ってしまったので、チャラ。
美夢√読んだら追記する予定だけど、夢オラ(プリパラ3DS)を始めてしまった。
【3/6 読んだので追記】
河合美夢シナリオ
何なんだろうなこういう女って…(総評)
遥香ルートの時点でだいたい予想してたけど、友達である遥香の幼馴染=主人公を巡って関係にヒビが入る昼ドラというか高校生版12歳。みたいなことに…
そういうの自体は比較的好きだから良いんだけど、だんだん彼女にイライラしてきてしまった。
いつまでも白黒はっきりしないまま薄幸のヒロインぶって4人の関係を引っ掻き回してるの、(別に女児みたいな趣味してるだけで女にはなり切れない身からすると)本当に不毛すぎてムカつくし、遥香は断腸の思いで譲歩してくれるようなやりとりがあったのにも関わらず、告白へ踏み切れなかった事を妬み混じりで遥香に八つ当たりするから恩を仇で返してるし、優しい顔してメンヘラじみた感情がよどめいてる。
自分は貴方が好きなの!!!ってアタックするんじゃなくて、貴方が気づいてくれないせいで私は傷ついてばっかり!!!1貴方が好きな事は直接言えないけど早く気づいて私を楽にして!!みたいな、一歩引いて攻撃してくるような態度が気に入らない。二次元でもストレートな女が好きだからそういう女の気持ちは理解できない。
今の関係が壊れるのが怖いのは分かるけど、自分の臆病さを人のせいにすんな。
やっとこさ恋仲に至っても、これだけ自分の弱さを仲間のせいにしといてなんで一樹が懺悔する流れになってんだ…保身のために嘘をつく女の卑しい弱さまで肩代わりしないといけないのかと驚愕するしかなかった。
でもそういう面倒くさい女感を出し切る阿澄佳奈さんの演技は凄い。*1
見ていてひたすらフラストレーション溜まるのが返って面白かった。
そんな彼女のキャラソンは「幸せなウソ」
遥香と同じ人を好きになってしまったしんどさと4人の幸せを壊したくなくてウソをついてしまうみたいな心情が込められているけど、実際にエピソード読んだら単に臆病なまま逃げたくて嘘ついてる…というか誤魔化し続けていたようにしか見えなかったよ。なんで。
”たぶん私気づいてる 幸せなウソなんてない 傷ついても欲しいもの あるから”
そう反省するように唄ってるのに… なんで一樹や遥香にはそう言えないんだ…
一樹にプロット任せて漫画書きたいみたいな流れも、後日談エピソードの21話以外ではほぼ立ち消えになったのも残念。あくせく一つの漫画を一緒に作りながら惹かれてく展開でも良かったのでは?
優しく突っ込んでくれるような独特のやりとり自体は良いし、後ろめたいメンヘラみたいにならなければもう少し好感が持てた。
「そんなお前が…お前が…!羨ましいと思った…!!」
容姿も性格もそこまで好きになれなかったけど、ガイアメモリに手を出しそうなヒロイン度合いでは5人中ぶっちぎりで1位。
>ねえ一樹君
>皆が幸せになる嘘と、皆が不幸になる真実って、
>どっちがいいのかな?