虹色プライヴェイトflavor

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精神が女児な人の備忘録

KING OF PRISM -shiny seven stars-

私がこの作品を観る時が来るとは。


話すとあまりに長いシリーズ立ち上げ前からずっっっと募らせていた個人的な不満と不平*1により、長年に渡って敬遠し続けていたこのシリーズとようやく向き合う時が来た。(プリティーシリーズに半生を捧げている身としてはいずれ向き合わなきゃいけないとずっと思っていた。)長年距離を置いていた自分からすると、プリティーシリーズであること自体がキンプリ最大のネックになっていた。


結論から言うと、悔しいけど面白い。
というより、劇場版の2作品があまりにプリズムショーという存在に対して無秩序かつホモセクシャルを彷彿とさせるようなシーンが多過ぎて逆鱗に触れて以来、自分の中でこれをプリティーシリーズとして認められなくなり、怖くてTVシリーズにも触れられなかったので、もしかしたら掌を返させてくれる時をずっと待っていたのかもしれない。

というか、予想以上に話立てがプリティーリズムレインボーライブの様式に即してて驚いた。主役のキャラに立ちはだかる問題を提示し、苦悩し、他の人の価値観に触れる事による気づきや発見を経て成長した自分の心境変化をプリズムショーという形で表現する。レインボーライブと殆ど同じぐらいの見やすさを感じた。TVシリーズの話を劇場版よりも先にやった方が良かったのではないかとさえ思う。
このシリーズも言ってしまえば氷室聖と法月仁の確執から大きな渦中に至った「大人の事情に巻き込まれる若者世代の話」なので、そういう意味でもプリティーリズムの一角なんだな。悔しいけど面白いわ。およそ4年越しの和解である。やはり食わず嫌いは良くないな。(HuluもDアニも配信が7月1日までなので急いで観なければ。)

1話。
法月仁がPRISM1とかいうなんか私情交じりな大喧嘩をふっかけてきたのに一丸となって挑むという分かりやすい目標提示。
武蔵小金井とかいう中央快速線要素はなんなの?
女性ファンに対する目配せなんだろうけど、この回に限らず裸の付き合いみたいなシーンが頻繁に入るのは正直要らないと思う。

2話。ユキノジョウが歌舞伎とプリズムショーの両立を見せる回。歌舞伎から逃げる為にプリズムショーをしているのではないかという問題提議に対して、歌舞伎の要素をプリズムショーに取り入れるという分かりやすい和洋折衷で成長を表現する話。
この話が現状で一番好き。やっぱこういう一見破天荒に見えて個性を殺さないで成長を経た事が一発で分かるような光景を見せてくるのがプリティーシリーズの十八番だと思う。
プラチナスパイラルの応用の仕方に草生えるけど遺伝子が流れていることが一発で分かるので仕方がない。分からないけど面白いのではない。
あと坪田文脚本の本気。この御方はセンシティブな面に対する強いアピールを混ぜることが多いので、そういう意味ではやはり勧善懲悪のプリキュアとかよりもプリティーシリーズの方が光ると思う。

適材適所。

3話。タイガがカヅキに解釈違いを起こしてしまう回(?)ウルトラマンZで香賀美タイガに錯覚する人多過ぎ問題。
自分がストリートに固執してくすぶっている間に出世したカヅキと向き合う為に、祭りに見立てた自分なりのプリズムショーを見出していくのが良かったと思う。
突発的なチェリピキの使い方が割と面白かった。でもキスは要らねえ!

4話。カズオがプリズムショーという精神的作用が大きいスポーツで培った発見や成長を十王院財閥の御曹司である宿命を受け入れる事に繋げる話。だと思う。どう見ても半沢直樹
企業が立ち上げた一見無駄とも見える海外進出による開発事業を真っ向から否定するのではなく活かす形で受け入れるという文脈を、動物園や天然ガスといった破天荒な絵面でプリズムショーに落とし込むのがプリティーリズムから派生した作品ならではって感じだ。

5話。シュワルツローズの内情。高田馬場ジョージはcvや髪型のせいでどう見ても銀魂の住民にしか見えない。あのハードコアになった萌黄えも父みたいな奴と同一人物とか本気?聖と仁が義兄弟だった設定って元々はRLの資料集で出た奴だったか?
池袋は高田馬場のこと疎ましいんだか認めてるんだか正直この1話だけだと分からないというか描き切れてない気がするな。両方なんだろうけど。そこにミヨを交えた三角関係は鉄板とはいえビター。

重ね重ね、劇場版の100倍ぐらい観やすいので物凄く面白い反面、この本気をセインツ等の女子プリズムスターやプリパラやチャンでも出してくれ…って歯軋りする思いは完全になくなったわけではないけど、まあ一つまた苦手なコンテンツを克服して楽しめるようになったのはまあ、我ながらプリティーシリーズのオタクらしい喜ばしい成長なんじゃないか。
明日までに12話まで観てしまうか…追記:8話まで観ました(2020.6.30 1:00)

6話。
鷹染ミナトに付けられた名前の由来というか文脈が厚いのが好感持てる。
大黒柱という意味合いで話を振っておきながら、ネーミングの真意は無理して空に輝く光になるのではなく大きな船たちが目指す灯台の光=道しるべになってくれたら良いという、この手のアイドル及びアスリート題材の作品(特に競合先である某カードが命)でありがちな才能主義or実力主義の結論とは一線を画する肯定を彼にもたらした上でプリズムスターとしての自信を持たせてあげる流れは見事。そしてその成長をまとめたようでどこかズレた解釈なプリズムジャンプ笑った。
でもやっぱ脱ぐ必要はねえから!

7話。
エイプリルフールネタじゃねえか。カヅキの女装を中途半端に夢川ゆいに寄せてるのが腹立つ。
あらゆる意味で目に毒な人がどんどん出てくる与太回かと思いきや、女っぽいことがコンプレックスになってしまった西園寺レオという子がどうなりたいかという、ある意味ではプリパラという世界観に無条件に肯定されたレオナウェストがプリティーリズム時空に放り込まれたらどうなるのかっていう実験的な話みたいな側面を感じて面白かった。または格好良く居る事を強いられていたけど可愛いを貫きたいという逆黒川すずorアナザー金森まりあ的な? というか生々しい四面楚歌が辛い。
キンプリを許す前は次々と関連作品の要素パクりやがって忌々しいとしか思えなかったけど、サイリウムチェンジの流用といい露骨なレオナウェスト寄せな西園寺レオといい、物語上そうする意味がそれなりにあるように思えたのが意外だった。
真中らぁらさんのコスプレしてた十王院、お前は屋上な。(バニーマジシャンまで悪用されてて草)

8話。
涼野ユウはいまいち見ててよく分からない(失礼)
眠い頭で無理して観たのと蓮城寺べるに憧れてるアピールと厨二的アピールが強いせいかこの話の趣旨を微妙に掴みかねてたんだけど、要するに楽曲や何かを作れる存在はこの面子の中でほぼ彼だけであり*2、息抜きしようというのを言い訳に誰も彼が作り手としての苦悩を理解して助言出来ていなかったために的外れな心配で余計に怒らせてしまったという解釈を見てなるほどって思った。
RLの時点で有名な捏造星座のシーンを、涼野ユウにとって年齢等の身分の違いを超えた仲間の繋がりという形で昇華し、その星と星が彼の中で繋がった時に歌が生まれるというのは素直に良かったと思う。

残り4話はまた明日。 追記:最後まで観ました(2020.6.30 22:30)

9話。
なんだ、アレクっていい奴じゃん!(壮大な掌返し)
映画でプリズムショーを戦争の道具みたいにしてたのがめちゃくちゃ癪に触ったから少し目の敵にしてたけど、
スピードスケートを応用した形から技を披露し合うプリズムラッシュという新しい概念を表現して、また劇場版みたいに破壊の限りを尽くすのではなく男らしいバトルをエンターテイメントとして魅せることで、まさに『対戦型』の『芸術』かつ『競技』という新しい解釈でプリズムショーという存在を昇華したのは素直に感嘆かつ納得。見直した。
どうでもいいけど、エンタメと乱入ペナルティで別の物を想起してしまう。
現状、2話(雪之丞)に並んでツートップ。

10話と11話。お前は誰だ俺の中の俺。
一見女々しい男二人のデートでやっぱりBLっぽいことやってんじゃねえかよって毒づきたくなる気持ちが無いわけでもないけど、実はルヰの中身がほぼりんねでシンの中に眠るシャインと心中を図った経緯があるせいで「劇場版で同性同士のキスをした行為」そのものが、”プリズムのきらめき”という謎のものを広める存在が暴走したという”シリーズ全体の根幹”に迫るドラマを孕んでいるという、とんでもないトリックに歯軋りしながら感嘆している。面白かったけどつくづく腹立たしいぞ。

12話。
実はあいらとみあらしきモブがいる情報に釣られて向き合う覚悟が出来ました。
結局シュワルツローズに勝てなくて借金返せないまま寮を畳むというビターな結末はプリティーリズムから派生した作品として割と良い落としどころな気がする。
散々聖を目の敵にして狂言を垂れてきた仁がどこか聖を認めたような素振りになっていったのは意外だった。
いやまあそう解釈して良い物か分からないけど、まあシャインのプリズムショーがやばかったのといい、これまで大事にしてきたルヰを間接的に助けてもらったのを踏まえると確かに思う所はあるのだろう。あの男に似てきたという法月母が指している法月ってのは父(皇)ってことでいいのだろうか。

総じて、西○子氏による企画のゴリ押しみたいな大人の事情を差し置いても、腐っても女子キャラが主役の女児向け作品におけるシリーズ全体の総括を兼ねた大物をなんで男子スピンオフでやっちゃうかなっていう疑問は最後まで見てもそこまで解消されなかったけど、とにかくプリティーリズムという作劇の再解釈としては上々かなって思った。システムが落ちてファンの煌めきで復活するみたいな展開見てると本当にオーバーザレインボーの後輩たちによるレインボーライブの再演というか再構築に見えてそういう意味ではとても面白かったし、つくづく最初にやった劇場版2作が自分の琴線どころか逆鱗に触れたのが惜しい。
一条はスター属性とプリティーリズムにありがちな瘴気の担当、十王院は言動森園でポップなのかセレブなのか分からないけどまあどっちも、ユウは姉譲りのクール担当、西園寺は見るからにラブリー担当、ミナトはエスニックでいいのか? タイガはカヅキ譲りの熱血なのとユキノジョウは女形もある歌舞伎要素でセクシー担当って、言えない事もないし、やっぱりレインボーライブの続編というよりは男子版のレインボーライブなんだと思うわこれ。


まあ散々目の敵にしてきたのが勿体ないぐらい面白かったです。
7月にキンプリ版のベストテンの円盤出るみたいだし観ますかね。

*1:2015年から2016年にかけて本家プリティーリズムのキャラクターがメインの完全新作映画が全く無い=プリズムツアーズで我慢しておけというお達し、加えて前々からオバレ贔屓の流れに乗れなかった、その状態でプリパラに移行したのとキンプリというスピンオフ映画の誕生が重なったことによって、上葉みあ及びセインツを愛顧していた私の怒りが有頂天に達した過去がある。あと、元のプリティーリズムの要素を勝手に使われるのが気に入らなかった。

*2:シンもそうらしいけど映画あまり覚えてない&9話以降まだ観てないので保留