虹色プライヴェイトflavor

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精神が女児な人の備忘録

ドーリィ♪カノン ノベライズ ~ヒミツのライブ大作戦~ 感想

少女漫画でよくある恋のライバル登場的なお話かと思わせて、
蓋を開けて見たら本質は全くそこじゃないそれどころじゃなかった。
ヒミツのライブってサブタイの印象が読む前と読んだ後で死ぬほど違うやつ…


奏四が些細な感情でやらかしてバンドで名を馳せる業界人に踊らされて
心音を苦しめてしまったり二人してポテンシャルを出せなくなったり
結局チャンスを逃してしまって苦渋を飲まされるんだけど、
その失敗をバネに自分達の出来る範囲で更に手を伸ばして
アーティストとしてのモチベーションを二人で更に上げていく様は、
原作さながら、女装と恋愛を織り交ぜつつも芯はとても真面目に
ネットの世界から本格的な音楽の世界に飛び込んでいく
見事な青春+クリエイティブ=ベストマッチな物語に思える。

恋愛よりも挫折の側面が根強いのも良いし、
ネット動画の世界から巣立って自分達の「曲」を売り込むのは
それだけ難しいという、昨今の歌ってみたや現在のYoutuberブームを
予感するかのような教訓に満ちている。 ※出版されたのは2014年末

奏四が原作よりも駄目な意味で男らしいというか青臭いのも良い。
2人のメジャーデビューに対する意欲に火をつける契機にもなってるし
それでいて結構ボリューミーな内容なので
たぶん原作5~6巻の間に挟まるVシネマ(概念)だと思う。

奏四も心音も、お互いに相手を信じきれなかった罪を感じてるし、
二人の息が合わないと「カノン」は成り立たないし、
そもそも原作からして、奏四は心音に彼女になってくれと嘘をついたことが罪で、心音は奏四が女装して歌った動画をネットに漏らされてしまった事が罪で、二人でその罪を償うかのように「カノン」という架空のアイドルを作りだしているのだから、
そういう意味ではW味がある。
Twitterであれだけビルドだって言っといてこれである)

上述の理由で原作漫画も面白いのでお勧めです。